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BOUND STRIKER1章 カウントダウン?

  • 2006/05/21(日) 20:16:41

Force1章三節目をUPです。

下の続きからどうぞ

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c_01.gif









 学校についてから向かうのは、自分の教室ではなく生徒会室だ。
 朝の生徒会室は基本的には蓮太郎と生徒会会長しかいない。
 ゆったりとした時間を、自分の勉強なりなんなり自由に使えるので、蓮太郎は必ず朝早く来て、立ち寄るのだ。
 普段なら、職員室に行って鍵を取ってから生徒会室に向かうのだが、今回は寝坊したために、「アイツ」が鍵を持っていっているはずだと思い、直接生徒会に向かう。
 生徒会室の前に立ち、扉に手をかけるとやはり開いていた。
「おはよう、海奈」
「おはよっ!レン。どうしたの、ボクより遅くご到着なんて」
 蓮太郎の朝の挨拶に元気よく答えたのは、中学のからの腐れ縁にしてクラスメイト、そして生徒会執行部会長で例の「アイツ」、」「空 海奈」(くう かいな)だった。 
 ショートボブの黒髪に、凛々しい力強い目が印象的な少女である。
 生徒会室は、部屋の中央に向かい合わせの机が2組、その一方の側面にやや大きめの机がひとつ配置されており、その周りをパソコン1台、関係書類の入った書棚、テレビとビデオデッキとDVDプレーヤー、そのほかに役員やその友達のサッカーボールやらマンガやらの私物が入り混じり、やや散らかっている印象を受ける。
 レンというのは蓮太郎の愛称である。仲がいい友達だけが彼に対して使うものだった。
「ん、録り溜めしておいたヤツをみてたら寝るのが遅くなっちゃって」
あくびを噛み殺しながら、蓮太郎は言った。
 普通10kmの道のりを継続して走れば、普通は眠気など覚めてしまうものだが、蓮太郎の眠気はそれ以上だった。
「まったくもう、また何かマニアックなやつ?いい加減卒業したら?」
やれやれという顔をしながら海奈が言った。
自分の席に座りながら、蓮太郎は言う。
「ならお前はその一人称を卒業しろ、ボクっ子」
海奈の顔がたちまち赤くなる。
「ボクっ子言うな!これは昔からそうだったんだから、いまさら変えられるものじゃないもん」
「だったら、俺が見ているものだってそれと同じだ。昔から見てきたんだから、今更やめられない」
「む?」
 なんとなく言いくるめられてしまった感じがして頬を膨らませて不機嫌になる海奈。
 たまにこんな言い争いをするが、二人とも本気ではない。軽い挨拶のようなものである。 
「昔は時間に余裕があったんだ。高校に入ってからというもの、なにやら面倒なこと押し付けられたり先生に頼まれたり。挙句の果てには生徒会役員に推薦されて、なぜか当選してるし」
 副会長になったのは無論、蓮太郎の意思ではない。クラスメイトの悪友にボーっとしてる合間に推薦されてしまったのが事の始まりである。
 ただでさえ暇が少なくなったのに、いかにも面倒くさそうな役職を押し付けられるのはたまったものではなかった。
 だから、彼自身は選挙活動には決して参加しなかった。
 ところが彼の周りはそうではなかった。
 いつの間に撮ったのかわからない写真を使って選挙ポスターを作り、内容が簡潔でわかりやすいビラを作り、大々的に宣伝を行ったのだ。
 元々そこそこの知名度があった蓮太郎は本人の知らぬところでさらに有名になってしまっていた。
 新聞部の下馬評でも2位につけていた。1位との差はわずかに1%。 
 そして蓮太郎は投票前の演説で、決定的にミスをした。
 本人的には、やる気のなさをアピールするはずが、何を間違えたのか、逆にやる気があると取られる演説をしてしまい、それが皆に受けてしまったからだ。

「え?と、まずはじめに言っておきたいことが。僕は生徒会の、それも副会長になる気なんてまったくありません。第一、僕が皆さんの前でこうしてマイクを通してしゃべっているのか、未だ不思議なりません。それもこれも僕の愛すべき悪友たちの性ですね。まったく困ったものです。それでは僕のほうはこれで…え、ダメ?え?と、時間が余ってるのでもう少し話さないといけないらしいので、僕が副会長になったらという「IF」の話でもしましょうか。自分が副会長になったら、積極的に何かするということはありません。絶対です。なぜなら僕自身が学校を変えようなんてこれっぽっちも思わないからです。学校を変えたいと思うのは、執行部ではなく、あなたたち。あなたたちが願うから、執行部は動くんです。学校を変えたかったら、あなたたちが、こうしたい、ああしたい、と言ってください。とりあえず検討します。荒唐無稽でもとりあえず言ってください。検討します。言わなければ、僕がいる生徒会は、少なくとも副会長は決して何もしません。無論行事運営とかのお仕事はやりますけどね、それだけです。僕たちが勝手に精力的に動いたって、それがあなたたちの望むものでなければ意味がないですし、あなたたちの態度が悪くて、よかれと思ってせっかく変えたあなたたちのための校則の変更といったものが、また元の形に戻ってしまうということは残念であるし、むかつきます。徒労に終わったって言う点で。要するに僕が言いたいのは学校を変える主体は執行部ではなく、あなたたちの側にあるということです。言ってくれれば、できるだけ応えようとは思いますよ。それがお仕事なわけですからね。そんなわけで、他の公約を掲げるやる気ある人たちと違って、僕にはやる気がありません。そんな僕に投票する酔狂な人がいないことを祈ります」

 やる気なしとの一斉で始まった演説は、拍手は起こらず、全校生徒が押し詰めになった体育館は静まり返えらせた。
 ところがその日の開票で、副会長になったのは蓮太郎だった。

「それで、新設した執行部にすぐに学校改革の意見が殺到したんだよね」
 昔を懐かしみながら海奈は言った。
「俺は、検討するまでしか言ってないぞ。だれも実現させるなんて言ってないのに」
「でも、300通ぐらいあったうちの30通ぐらいは希望通したじゃない?」
 蓮太郎はあくびをして伸びをしながら、
「現実的な意見だけな。あくぁ…、自分の生真面目さが恨めしい…希望通すために奔走したからな…」
 海奈はふふっと笑って言う。
「昼行灯じゃいられないってわけだよ。それだけの暇と能力をもてあましているんだから、学校という社会に奉仕するのは当然当然」
「暇は「もてあまして」いるんじゃくて、「楽しんで」いるんだ、能力に関しては海奈の過大評価だ」
 鼻を鳴らして蓮太郎は言った。
「逆にレンは自分を過小評価してるよ。学業、運動ともに優秀で、行動力と統率力は去年の実績で証明済み」
 机に手を立ててあごをその上に乗せて、海奈は言った。
 去年の実績というのは、蓮太郎が巻き込まれたトラブルや他のまれごとの対処を言っていた。
 何をしたかについては、また別の話になる。 
「故に!」
 ビシッと指で蓮太郎を指して海奈は続ける。
「能力、時間ともに問題なし!文句言ってないで仕事をしなさい!」
「へいへい」
 蓮太郎はそういわれて渋々、月に1度発行する会紙の原稿をに意識を向けた。
 その後は、適当な話をしながら、それぞれの作業に没頭した。
―キ?ンコ?ンカ?ん?コ?ン…―
 朝のホームルームの予鈴のチャイムが鳴り響いた。
「ふう?、それじゃそろそろ行くか」
「うん、ちょっと待って」
 海奈はかばんの中に用具を急いで片付けた。
「お待たせ、行こっ!」
「おう」
 二人はならんで教室に向かって歩き出した。

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