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BOUND STRIKER 1章 カウントダウン?

  • 2006/05/25(木) 18:09:11

BOUND STRIKER 1章 第4節をUPします。


下の続きからどうぞ

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c_01.gif


 


すでにその忙しささえ「日常」となっていたそんなある日のことだった。
 今朝のHRはやけに騒がしかった。
 それもそのはずだった。 

<転校生がやって来る>
 
高校生活において、なかなかお目にかかることのない希少なイベントの一つだ。
 珍しいこともあるものだと蓮太郎は思った。
 蓮太郎のクラスに転校生、しかも外国人で二卵性の双子の兄妹。
 これだけの要素が絡んでいれば、当然クラス全体が浮き足立つのも無理はなかった。
「よし、それじゃあ入っていなさい」
 担任の教師の呼びかけで教室の扉が開いた。
 不相応だな、蓮太郎は思った。
 それは彼らに対してこの学校が、ということである。
 兄の方は短めにまとめられたに空のように青い髪、妹の方は腰に達するほど長い燃えるような赤い髪を持っていた。
 その姿、雰囲気は高貴ささえ感じられ、現実離れしているとしか言いようがなかった。
 二人とも端整な顔立ちではあるが、ナイフのような鋭さを持っていた。
「えー、この二人は…」
 担任が彼らの紹介しようと口を開いたとき、兄のほうが手を出してそれをさえぎり、
 一転して柔らかな表情になって自己紹介を始めた。
「僕の名前はサイフォン=エルシオン」
「私の名前はイングリット=エルシオンです」
 よどみない完璧な標準日本語だった。
 サイフォンが後を続けた。
「名もなき小国からやってきました。短い間ですが、よろしくお願いします」
 ペコリと頭を垂れる二人。 
 数瞬の後、歓声が上がり教室は大いに盛り上がった。
「はいはい、静かにしなさい!」
 担任がなんとか場を鎮めると、彼らの座る席を指定した。
「では、一番後ろの空いている席を使いなさい」
 教師が指定した席は、この日のために新しく設けられた机だった。
 それらは、クラスの人間の総数が奇数であるために他の列からひとつ飛び出した窓側の一番後ろの席、つまりは蓮太郎の席の隣に配置されていた。
 席に着く二人。 
 蓮太郎の隣にはイングリットが座った。
 未だざわつくクラスにあって、窓の外を眺めていた蓮太郎は、イングリットに声をかけられた。
「これからよろしくお願いしますね、…あなたの名前は?」
「ん、ああ。名前は蓮太郎。尾瀬蓮太郎」
「蓮太郎さん、ですね? 改めてよろしくお願いします」
「…ああ、こちらこそ」
 振り向いてイングリットの笑顔を見たとき、蓮太郎は強烈な違和感を覚えた。
 イングリットの笑顔は、男が十人いれば、十人は惚れさせてしまうほど可憐だった。
 が、蓮太郎の目には、その笑みは偽りのものに見えた。それも、自分自身すら欺いているかのように。

 授業が終わり休み時間になると、当然の如く転校生の兄妹には質問の雨が降り注ぐ。
恒例行事ともいえるものであり、転校してきて友達が一人もいない状態から一気に友達を作るチャンスであると同時に、いかほどの人物かということを値踏みされるときでもある。
根掘り葉掘り、結構失礼な質問も飛び交うものだが、そこは無礼講というもの。少なくとも日本の普通の学校においては。
割ときわどい質問は上手くごまかしながら、一つ一つの質問にサイフォンとイングリットは丁寧に答えていった。
蓮太郎は、先ほどの違和感が拭いきれず、その中には入らなかった。

 放課後になり、生徒会の仕事も終わった蓮太郎は、海奈と一緒に家までの帰り道を歩いていた。
 二人の他には誰もおらず、まったくといっていいほど静かだった。
「しっかし、二人とも美形だったよね?」
 自慢のMTBを押しながら海奈が言った。
「…ああ、そうだな」
「どうしたの? 心ここにあらずって感じなんだけど」
「別に。ただ疲れてるだけだよ」
 海奈が道の途中でふと立ち止まった。蓮太郎もそれに合わせて立ち止まった。
「おい、どうしたんだよ」
 見れば海奈は真剣な顔をしていた。
「ほんとに…疲れただけ?」
「ああ、そうだけど」
「イングリットってさ、綺麗だよね」
「まあな。あのレベルはそうそういないだろう」
「イングリットのこと、どう思う?」
 らしくない、と蓮太郎は思った。
「どうって、そりゃまあ、綺麗だし、落ち着いてるし、大人っぽいよな、何気に胸はでかいし」
「そんなこと聞いてるんじゃなくて!」
 話の流れから、いつもとは違う海奈の態度を見て想像がついてきた。
 わかってるって。お前の聞きたいことぐらい。
「イングリットのこと、異性…としてはどう思ってるの?」 
 そういうことか。
 蓮太郎はその手の漫画や小説も読んできているが、 それらに出てくる主人公のように鈍感ではない。
 だが…
 蓮太郎は心の中で舌打ちした。
 おいおいどうしたっていうんだよ。イングリットが、天然でうちのクラスだけじゃなく他のクラスや学年の男子がも骨抜きしたの見て、触発されたってか? 危機感を感じたか? 勘弁してくれ、まだ早いだろ。
「別に、なんとも。そういうお前はどうなんだ。サイフォン、転校早々にあいつのファンクラブまでできたって話だぜ」
「なんとも思ってるわけないじゃない!話をすり替えないで!」
 場が沈黙に包まれた。
 しばらくして、蓮太郎が大きくため息をついて、
「なあ、その話は今、ここで、すぐに話さなきゃいけないことか?」
「…なんか」
「?」
「不安になったんだもん」
 海奈はうつむいて言った。声はかすかに震えていた。
「イングリットがレンを見る目がさ、他の人たちとちがってたの。それで…」
 声の震えは、より大きく、声は小さなものになった。
「だから、もしかしたら、レンを、とられ、ちゃうんじゃないかって」
「とられるって…」
「だって!」
 海奈はMTBのハンドリングを手からはずした。
 ガチャっと音を立てて、MTBは倒れた。
 顔を上げた海奈の目には涙がたまっていた。
「レンってさ、自分から何かを求めるってしないでしょ。いつも受身じゃない。選挙演説の時だって、生徒会の活動だってそう。自分がやりたいことは何一つなくて、いつも他の人のことばかり」
「いや、それが仕事だし」
 蓮太郎は頭をぽりぽりかきながら言った。
 蓮太郎の言は無視して海奈は続ける。
「だから、もし、誰かにそういうことで求められたら、そのまま応えちゃうんじゃないかって…」 
 蓮太郎は、反応に困っていた。海奈の気持ちに気づいていなかったわけではない。
 むしろ自分からも想ってもいた。
 だが、それはもっと先のことだと思っていた。
「ボクは…」
 マジか。もう後には引けないぞ。

「レンのことが好きなんだ! 好きだから、誰にも取られたくないんだよ!!」

 直球だった。
 自分の想いをすべて吐き出したためか、そこからは言葉にできず、顔を手で覆い泣き始めた。
 蓮太郎は意を決し、海奈にゆっくり近づくと、その小さくなった体を抱きしめた。
「泣くな、バカ。泣き顔はやめとけ、ブサイクになるぞ」
「うるさい…だれのせいだ…」
 蓮太郎の腕の中で、顔をあげる海奈。
 これまでにないほど、二人の顔は近づいた。
「俺の気持ち知らなかったか、俺もお前のこと好きだったんだぞ、わりと前から」
 海奈の目が大きく見開かれた。
「だったら、そっちが先に言え。女のほうから言わすなんて」
「もうちょい先かと思ってたんだよ、俺は」
「ボクは結構前から、こうなればいいと思ってた…」
 蓮太郎は海奈の唇を、自分の唇でふさいだ。
 時間にして5秒ほどのキスをして二人は顔を離した。
「これからは、ボクっていうのやめろよな。あれだろ、男友達と対等でいたいからって理由でその言い方なんだっけ?いつだか話してたよな。俺たちはもう友達じゃないんだから、もう直してもいいよなあ」
 ジトっとした目でニヤニヤしながら海奈を見下ろす蓮太郎。
 体を離して、慌てる海奈。
「いやでも、ほんとにクセになっちゃったから、いまさら恥ずかしいって言うか…」
「さっきの告白のほうがよっぽど恥ずかしいと思うが?」
「う、うるさい」 
 思い出したのか、顔をさらに赤くして講義する海奈。
「ははは」

 
「お暑いようで、うらやましい限りですね」
 
 蓮太郎と海奈のほか誰もいなかったはずの路地に涼しげな女性の声が響いた。
 見れば、いつの間にか、二人を挟んでサイフォンとイングリットが立っていた。
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