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BOUND STRIKER  第4章 全力疾走 ?

  • 2006/08/20(日) 16:46:05

はい、小説更新。
っていうか、このぶろぐ、小説をアップすると、急にアクセスが激減するっぽいです。
ああ、なんか切ない……(泣)
でも、見てくれる人が一人でもいてくれるならこれ幸い!!


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第4章 全力疾走

 



 海奈にぶん殴られた蓮太郎は、それからの数日、海奈に何度も謝ろうと試みた。 
しかし、海奈は蓮太郎にとり合うことはせずに、そのことごとくを無視した。
 蓮太郎はかなり焦った。
 海奈の小学校からの友達の話を聞けば、海奈の一人称の話は昔から鬼門だったらしい。
 海奈は顔が広かった。下手をすれば、学校のあらゆるところでハブにされてもおかしくない、と思い込んだ蓮太郎は、捨て身の策に出た。
 蓮太郎は最後のHRが終わったと同時に海奈の席に向かった。
「あのー空(くう)さん。話があるんだ、ちょっと聞いて欲しいんだけど……」
 海奈は少しだけ蓮太郎を見たが、ただそれだけで、かまわず鞄に教科書やノートを詰め込んでいた。
ここまでは蓮太郎の予想通りの反応だった。
意を決してクラスメイト達がいる前で、海奈に土下座したのだ。
「本当に悪かった! 許して欲しい! 頼む、この通りだ!!」
 まったく卑怯という他ない。
 蓮太郎は、海奈がさも悪者であるかのような状況をつくり上げたのだ。
 海奈はため息をついて、しょうがないといった面持ちで、
「……わかったよ。もう無視とかしたりしないよ。でも! もう一度あんなこと言ったら許さないから!」
 さすがにこんな真似をされてしまっては、海奈としても許してやるしかなかった。
 無論、体面的に、ではあるが。
 そんなことは蓮太郎は百も承知。
 会話が成立する段階まで持っていくのが、肝要だったからだ。
 本当の意味での仲直りというやつは、これからが本番なのである。




 海奈に気持ちよく吹っ飛ばされた蓮太郎はキレイに目覚めた。
 まず視界に入ったのは、海奈の顔だった。
「……あれ? 海奈……」
 目を覚ました蓮太郎を見て、海奈は顔を輝かせ、蓮太郎に抱きついた。
「レン、レン! よかったぁ……」
 蓮太郎は、海奈の背中に手を回す。
「俺と戦ってたのって……もしかして、海奈、だったのか……?」
「もういい、もういいよ。 もう、終わったことなんだから」
 蓮太郎は、海奈の後頭部をなぞった。
 蓮太郎が蹴り飛ばした部分は、こぶができていて少しだけ膨らんでいた。
 罪悪感と、身勝手な怒りが、蓮太郎の中に生まれた。
 一番大事なものを、おまえ自身が傷つけてどうする? お前は何のために戦器なんてわけのわからないものを使って戦ってたんだよ。 なあ、おい? どうなんだ。 ああ、くそ、なんでだ、なんで、こう、なった? そもそも、ハイフリーダって? 異世界って、なんだよ? いきなりだ、そう、いきなりだ。 いきなり拉致られて、海奈を人質にとられて、戦器渡されて、いざ戦ってみたら人質かと思ってた海奈が相手? ああ、なんなんだ、何が悪い、何が原因だ? ああ、そうか、あいつらだ、あいつらが、悪いんだ。 
 蓮太郎は一線を越え始めていた。
 溜まったストレスを吐き出そうとして、思考は勝手に破滅のイメージを突き進む。
 元来、蓮太郎はストレスを内に仕舞い込むタイプだった。
幼いころならばそれでもよかったが、歳をとってくれば、そういうわけにもいかない。
 そうして周りの状況への対応と、自分ののんびりとしたスタイルを共に両立させるために生まれたのが、嫌なことでも楽しいと思い込む思考だった。
 だが、それでもストレスは少しずつ溜まっていく。
 面倒なことを嫌う蓮太郎だが、高校に入ってからはその<面倒なこと>を押し付けられることも多くなり、ストレスは結構な量になっていた。
 その矢先に、この事態。
 もはや楽しいと思い込む余裕はなくなり、蓮太郎の心は張り詰めた糸が今にも切れそうな状態と酷似していた。

 蓮太郎は海奈と体を離して立ち上がると、この世界に連れてきた張本人達を見据えた。
「なあ、とりあえずテストは終わりだろ……? どうなんだ、結果は?」
 サラミティアは口元を歪めて、満足そうに言葉をつむぐ。
「ええ、合格。あなた達には、しばらくの間……」
 蓮太郎はサラミティアの言葉を聞き流しながら、そばに落ちている沙凪を拾い上げる。
 首を回したり、手足首を回したりして、体をほぐす。
「レン……?」
 死んだ魚のように、目から光をなくした蓮太郎に海奈は嫌な感覚を覚える。
「うん、よし、体は動くな」
 蓮太郎は深く息を吸い込み、吐き出す。
 次の瞬間、
―沙凪、瞬動―
まだ、幼さを残す金髪碧眼の少女―サラミティア―に一瞬で接近し、全力で斬りかかった。
ためらいなく放たれた斬撃は、サイフォンの腕に止められていた。
「どういうつもりだ、尾瀬蓮太郎」
「別に」
 かまわず左の沙凪で二の太刀を放つ。
 その斬撃はサイフォンの胴を捉えたが、傷一つつけることなく、甲高い音を響かせて弾かれた。
 顔には出なかったが内心、蓮太郎は驚いていた。
 サイフォンが自分の攻撃に反応できるのはともかくも、二度も沙凪の斬撃を止めたサイフォンの体にはまるで鋼に打ちつけたような手ごたえがあったからだ。
 サイフォンは蓮太郎の速力強化された動きにも負けない速さで、蓮太郎に掌底を放った。
 蓮太郎は瞬動を使って、後ろに飛びのいて距離をとることで、掌底を回避した。
 サイフォンはイングリットとサラミティアを後ろに下がらせた。
「ちょっと、レン!?」
 一瞬の出来事に、呆然としていた海奈がようやく何が起こったのかを認識した。
「海奈、ごめん。本当に、ごめん。いくらわからなかったとはいえ、俺は取り返しのつかないことをお前にしようとした。それを俺は許せない。自分を許せない。でも、俺はあいつらも許せない。やったのはあくまで、俺だし、それはわかってるけど、身勝手なのはわかってるけど、俺は、もう、止まれそうに、ない」
 蓮太郎はうわごとをつぶやくように言った。
「サイフォン、お前には、かなりムカついてるんだよな」
円を描くように石舞台を歩く二人。
「お前のやろうとしていることは、ただの八つ当たりだ」
「うるさい」
「死ぬことになっても文句はあるまい?」
「だから、どうした」
 二人は、同時に飛び出した。
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