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BOUND STRIKER 第4章 全力疾走?

  • 2006/08/30(水) 13:00:53

小説更新。
とりあえず、これで物語としてはここで一区切り。
当初の目的だった蓮太郎VSサイフォン戦を書けました。
なんか行き当たりばったりで書いたんで風呂敷を広げすぎたかもです。
いや、ネタはあるんですが、完結までいくかというかと……
まあ細かいこと考えても仕方ないし、書くしかないですね。


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c_01.gif

第4章 全力疾走 ?


 右の沙凪とサイフォンの手刀が激突し火花を散らす。
「があっ!!」
 蓮太郎が吼えた。
 常人の目には捉えられない速さで蓮太郎は沙凪を振り回す。
 だがそのことごとくをサイフォンは受け流した。
 動きが雑になったところをサイフォンは見逃さなかった。
「シッ!!」
 サイフォンの手刀が蓮太郎の胴をかすめた。
 すんでのところで後ろに飛んでいたために傷こそ負わなかったが、衣服を切り裂かれていた。
 沙凪によって速力を強化している蓮太郎だが、サイフォンはその速さに苦もなく対応してくる。
 時折、無数に放つ斬撃の内のいくつかがサイフォンの身体にわずかに触れることがあっても、それらはサイフォンの体に傷一つつけなかった。
―くそっ……疲れるな……。
 サイフォンは休みなく攻撃を加え続ける。それも、速力強化された蓮太郎と同じレベルで。
 速力を強化している分、体力の消費も増えていた。特に最高速度の<瞬動>までの強化の時の体力消耗は半端なものではない。
 故に連続使用をしようものなら、戦いの“決め”でしか使えない。
 激しい疲労で、身体は動かなくなってしまうから。
 だが、そんなことをせずとも蓮太郎の体力の限界はすぐそこまでせまっていた。
 対するサイフォンは息ひとつ乱すことなく、攻撃の手を緩めることなく蓮太郎を追い立てていく。
―風を紡げば少しはマシかもしれないのに、そんな暇もコイツはくれない……!
 足腰はふらつき、動きは雑になる。
 意識は朦朧とし、集中力は散漫になる。
 そうして生まれた隙をサイフォンが見過ごすはずも無く、大振りになった右の沙凪の斬撃を上方へとはじき返し、がら空きになった左腹部に最速のボディブローを叩き込んだ。
「があっ………!!」
 未体験の衝撃に息も出来ない。メリッと音を立てて肋骨が数本折れた。
 石舞台にごろごろと蓮太郎はころがった。
「レン!!」
 連太郎に駆け寄ろうとする海奈だったが、いつの間にか背後に回っていたイングリットに羽交い絞めにされて止められた。
「何するの!? 放してよ!」
 暴れてなんとか束縛を抜けようとする海奈だったが、びくともしなかった。
「連太郎さんはまだ終わってはいません。<あの程度>で終わるようなら<私>は彼に恐怖をかんじたりはしない」
 イングリットが暴れる海奈の耳元でささやいた。
「何わけのわかんないこと言ってんだ! レンはもうボロボロじゃないか! もう、立ち上がるのだって……」
 海奈が全てを言い終わる前に、蓮太郎がよろよろと立ち上がろうとしていた。
「レン! 立たなくいいんだよ!!」
 立ち上がった蓮太郎は息も絶え絶えで、少し小突いてやれば今にも倒れそうだった。
 何かを言っているらしい海奈の方を見やるが、よく聞こえなかった。
―なに言ってるか、わかんないよ、海奈……。
―ああ、痛いな……うわ、なんか海奈が五人にいるよ……
 もはや視界も霞み、思考もおぼつかない。
 何故自分がこんな痛い思いをしているのに立っているのか。
 これは、この感情は。
―なんだ、俺にもこんなものがあったのか。
 それは、悔しいという思い。
 それは、負けたくないという意思。
 それは、男としての意地。
<青い>男がこっちに向かって歩いてくる。
 そう、以前はここで終わりだった。腹に一撃食らってそれで気絶。
―だから。
「終われないんだよぉ!!!!!」 
 血を吐きながら、自分自身を鼓舞するために声を張り上げる。
 目の前の<青い>奴、サイフォンをぶっ倒さなきゃ、気がすまない。

「やれやれ、まだやるのか。あのまま倒れていればよかったものの……」
 ため息をつきながら、構えをとるサイフォン。
「いいだろう。お前の生(せい)、ここで散らしてやる」
そんな言葉は、もう蓮太郎には届かない。届くはずもない。
―青いのが三人もいるよ……困ったなあ……まあ、いっか。


 三人まとめて斬ればいいだけだし。


 蓮太郎の身体が<ゆらり>と倒れそうになる。
 砂埃が舞い上がり、蓮太郎の姿は消えた。
 次にその姿を見せたときには、蓮太郎は三人になってサイフォンに飛び掛っていた。
 蓮太郎の目に見える三人のサイフォンを全員その刃を振り下ろすために。
 瞬動<そのまま>で放つ斬撃は、防御が間に合わないサイフォンの胸部を捉え、その鋼鉄の身体へと進入した。
「ぐっ……!!」
 その初めてサイフォンにダメージを与えたその一撃は、後に<瞬撃・刹那>として蓮太郎の必殺の一つに名を数えられることになる。
動きをやめることなく、続けて第二撃。
今度はサイフォンもこれに対応。
すぐさま、見る者には壮麗な、行う者達には死線をなぞる演舞が開始された。
 
 ああ、遅い! 遅いな、俺! もっとだ、もっと速く! この<青い奴ら>を全員倒すにはまだ<迅さ>が全然ちっとも一つも足りない!!! 
 
 徐々にスピードを上げる。速度のギアを一つ上げる。もう一つ上げる、またもう一つ。
 蓮太郎は<三人の>サイフォンを相手にするためにその速度を上げていく。
 当然、本人にはそのつもりでも端から見るとでたらめな斬撃が増えただけである。
「ちっ……!」
傍目には隙が増えて、御しやすくなったはず。だがしかし、その隙を帳消しにする速さで返しの斬撃が放たれている。
 蓮太郎の攻撃は、軽い。それは普通の人間ならば十分な殺傷力を持つものであるが、戦器所有者と相対するには軽いものなのだ。
 なればこそ、速さが必要なのだ。軽い攻撃でもそこに速さが加われば、それは重い攻撃と化す。
―まだだ、このカタブツを倒すにはまだ速さが足りない! もっとだ、もっと、早く速さを上げろ! 

早く速く疾く迅く速く早く

疾く迅く疾く速く速く疾く

迅く!!!!!!!!!


型も何もありはしない、ただ振りまわされる斬撃の雨。
 いつしか、サイフォンは防御だけで手一杯になり、瞬動レベルまで高められた蓮太郎の<迅さ>が、徐々にサイフォンの身体を傷つけてゆく。
(なんだ……この男は。どこからこんな力が)
―勝てる! 今度は、俺が!!
  
 だが、限界は不意に訪れた。

 渾身の<刹那>が放たれる前に、蓮太郎の視界が歪んだ。
 そうかとおもうとなぜか自分と地面が近づいてきて、視界が白い石で一杯になる。
―あれ、なんで、地面が、近づいて……?
そこで蓮太郎の意識は断たれた。
 海奈との戦いで受けたダメージと疲労、サイフォンに受けた一撃。そして、過度の速力強化による自身にかかる負担。
 それらが積み重なりが蓮太郎に限界をもたらした。
結局のところ、勝負は海奈に負けた時点で終わっていたのだ。


「ふう……」
  サイフォンが息を一つ吐くと、蓮太郎につけられた傷が見る見るうちに治っていってた。
(さすがに戦器に選ばれるだけのことはある……。 あのまま続けていれば地に伏していたのは俺だったのかも知れん)
 
「レン……」
  羽交い絞めを解かれた海奈はゆっくりと蓮太郎に近づいた。
  先の戦いは自分には何が行われているのか、よくわからなかった。そんなレベル。
  ただ、一瞬見えた蓮太郎の顔は、「笑って」いた。
  あの笑顔は怖かった。ひどいくらいに酷薄で、だけど簡単に壊れてしまいそうな。
  その笑顔は、かつて自分を救ってくれた笑顔のはずなのに。
  自分を窮地から救い出してくれた、愛しい人の笑顔なのに。
  気絶している蓮太郎の顔は、綺麗だった。
  身体は脈動している。生きている。
  自然と涙が流れていた。ああ、自分はここ数日で泣いてばかりだ。
  今は、彼が生きていることを喜ぼう。ともにいられることを喜ぼう。
  これから、何があろうとも、彼と一緒ならば何とかなる。これまでのように。


「どうですか、サラミティア様」
  隣の、少しだけ震えている少女にイングリットは声を掛けた。
「え、ええ……。そうね」
  無理もない。サラミティア自身は戦器所有者の<本気>の戦いを見たことは無かった。
「当初の予定通り、彼らにはこの地に留まってもらう。しばらくは、この地も危なくなりそうだから。私はもう屋敷に帰るわ。あとはお願いね、イングリット」
  サラミティアは踵を返して足早に石舞台を去った。
(お父様、お母様。私はこの先、大丈夫なのでしょうか……)   
精一杯虚勢を張って、背伸びをしてみても、やはり年相応の少女ではあった。
  両親の早すぎる死は、彼女を大人であること強要した。
  両親から受け継いだこの土地を守らなければならない。
  そのためには……なんでも利用しなければならない。
  まったく自分の身には余る問題だと、全てを投げ出したくなる気持ちに駆られながら、屋敷への家路に急いだ。

「さて」
  サラミティアに一礼して見送った後、イングリットは蓮太郎たちを見やる。
  すぐにでも蓮太郎には休息と治療が必要だろう。
  それにしても、とイングリットは思う。
  未だ戦器をもてあましている状態でここまで<やる>とは
  なかなかどうして、自分の見込み外れてはいなかったということか。
  だとすれば、この男を御することは果たして可能か。
  いや、不可能だとしてもやらねばならない。
  そのための海奈というファクターであるし、かの有名な「紅き嵐」や「閃光」に対するには彼の力が必要だ。
  サイフォンや私ではコンスタントに100%の力を出すことはできても、120%の力を出せる相手には最後には負けてしまう。
  イングリットは赤く長い髪を揺らして、蓮太郎たちの元へ歩いていった。


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